2025.05.08
クロマキーとは?背景合成の仕組み・撮影のコツを解説
クロマキーとは、画像や映像から被写体だけを抜き出して別の背景と組み合わせる編集技術のことです。「グリーンバック」や「ブルーバック」と聞けばどのようなものか思い浮かぶ方が多いでしょう。しかし、どのような仕組みなのか、なぜ背景色がグリーンやブルーなのかご存じの方は少ないです。
今回は、クロマキーとはどのような技術なのか、どのように別の背景を合成しているのかを解説します。素材となる画像や映像の撮影を成功させるコツや作業手順についても触れているので、ぜひ参考にしてみてください。
クロマキーとは
クロマキー(chroma key)とは、ギリシャ語で「色」という意味の「クロマ(chroma)」が語源になっている用語です。映像業界用語としてのクロマは色相・彩度という意味合いも持っており、クロマをもとにしたキー信号を使う画像・映像編集技術のことを「クロマキー合成」と呼びます。
クロマキー合成の仕組み
「クロマキー合成」と聞いてもピンとこないかもしれませんが、グリーンバックやブルーバックを使った背景合成技術は多くの方が目にしたことがあるでしょう。
クロマキー合成は、被写体となる人やものと背景の色差を利用し、被写体だけを抜き出して背景を透明化した後、別の背景素材と組み合わせて1枚の画像にする技術です。背景との色差があればあるほど被写体を区別しやすいため、彩度の高いグリーンやブルーが背景色として使われています。
グリーンバックとブルーバックの違い
クロマキー合成に用いる背景の色はグリーンが主流ですが、ブルーが用いられることもあります。この2色が選ばれる理由は、人間の肌色に近い赤やオレンジの補色であり、被写体との色差が大きくなる(=被写体だけを抜き出しやすくなる)ためです。
大まかな傾向として、グリーンバックは欧米人との、ブルーバックはアジア人との相性が良いとされています。瞳の色が青い方がブルーバックで撮影をすると、クロマキー処理時に瞳の色まで抜けてしまうため、2色の使い分けが重要です。
クロマキー合成を成功させるコツ
クロマキー合成を成功させるためには、入念な準備と工夫が必要です。事前に知っておきたい撮影のコツをご紹介します。
〈クロマキー撮影・合成を成功させるコツ〉
- ・服などの色が背景と被らないようにする
- ・背景布のシワを防ぐ
- ・被写体と適切な距離をとる
- ・複数の照明器具を使って全体を均等に照らす
- ・できるだけ高い解像度で撮影する
服などの色が背景と被らないようにする
事前に背景色を確認し、被写体が着ている服や小物、髪や瞳などの色と被らないようにしましょう。被写体と背景の色が近いと、後の編集作業時にソフトウェアが色差を認識できず、適切に被写体だけを抜き出すことが難しくなってしまいます。
背景布の折れ・シワを防ぐ
背景布に折れ目があったりシワが寄っていたりすると、そこに陰影が生まれてしまい編集作業に支障をきたします。できるだけシワがつきにくい・汚れにくい素材のものを選び、特に大きな布を使う場合には取り扱いに注意しましょう。
被写体と適切な距離をとる
撮影を始める前に、背景・被写体・カメラの距離間や照明の配置・明るさを調整して適切な位置関係を見つけましょう。違和感のないクロマキー合成をするためには、編集作業時にノイズとなる影や反射の発生を最低限に抑えることが重要です。
複数の照明器具を使って全体を均等に照らす
特定の一方向から被写体を照らすと影が生まれてしまうため、照明器具は少なくとも3つ用意しましょう。左右側の2つで背景全体を、正面側の1つで被写体を照らすことにより、影が少なく編集しやすい状態での撮影ができます。
できるだけ高い解像度で撮影する
ソフトウェアによるクロマキー処理の際には、素材となる写真や映像の解像度と処理の精度が比例します。被写体がぼやけていると背景との境界があいまいになり、被写体だけを抜き出すことが難しくなるため、できるだけ高い解像度に対応するカメラを用意しましょう。シャッターを切る直前のピントの設定も重要です。
クロマキー撮影・合成のやり方
写真や映像を撮影し、クロマキー合成をするやり方は以下のとおりです。
〈クロマキー撮影・合成のやり方〉
- ①必要なものを準備する
- ②セッティング
- ③撮影
- ④編集ソフトで処理
①必要なものを準備する
まずは、クロマキー撮影をするために必要なものを準備します。
〈クロマキー撮影に必要なもの〉
- ・背景布(グリーンorブルー)
- ・カメラ
- ・三脚
- ・照明器具(3つ以上)
背景の色は、「グリーンバックとブルーバックの違い」を参考に適したものを選んでください。コストを抑えたい場合には、布製ではなく紙製のものを選ぶ方法もありますが、折り目やシワがつかないよう十分注意してください。
カメラはできる限り高い解像度に対応したものを選び、三脚を使って固定しながら撮影しましょう。照明器具は少なくとも3つ用意し、背景と被写体を含めた全体を均一に照らすことが重要です。
②セッティング
用意した機材をセッティングして撮影環境を整えます。被写体の大きさを考慮し、十分な大きさの背景を用意しましょう。背景布を張る作業はできるだけ複数人で行い、陰影がつかないよう均一に広げることがポイントです。
③撮影
撮影時には、背景布・被写体・カメラ・照明の距離感や配置を意識して、影や光の反射を極力少なくすることを心がけましょう。特に背景布の状態は逐一確認し、よれが見られたら都度張り直してください。
④編集ソフトで処理
撮影を終えたら、編集ソフトでクロマキー処理・合成を行います。「Premiere Pro」「Adobe After Effects」「Final Cut Pro」「Power Director」などのさまざまなソフトがあり、価格や細かな機能・操作性が異なるため、無料体験版で使い勝手を比較しながら自分に合うものを選びましょう。
高品質なクロマキー合成はプロへの依頼がおすすめ
クロマキー撮影・合成をするためには、撮影機材や編集ソフトウェアの準備にある程度の手間とコストがかかります。自社で機材やノウハウを持っていない場合は、映像制作会社への外注も検討してみてください。プロ品質の映像を、機材や専門知識・技術を持ったスタッフを用意するよりも手頃に入手できる可能性があります。
まとめ
クロマキー合成とは、背景と被写体の色差を利用し、被写体だけを抜き出して別の背景を合成する画像・映像編集技術のことです。グリーンまたはブルーの布を背景として使い、影や光の反射が極力発生しないよう注意しながら撮影を行います。
クロマキー合成による画像・映像制作をご検討中の方は、ぜひジオイメージワークスまでお気軽にお問い合わせください。ハイスキルなスタッフが新鋭設備を用いて撮影を行い、プロ仕様のソフトウェアによって高品質な画像・映像を制作いたします。